「FighterAce用エンジン音のあれこれ DB605編」

 

 最近の「FighterAce用エンジン音のあれこれ」は、音を作る作業のあれやこれやもありますが、そのサンプリングした音源の出所や由来などがだんだんメインになってきました。以前に書いた"あれこれ"にも、今後そのへんの話を追加するかもしれません。さて何で出所や由来の話になるかというと、あの「VK-107A」の事があったからです。Ya-9のエンジン音ということで、VK-107A実機セットとしてリリースしたのですが、実はそのYak-9は新造機で、エンジンもアリソンV-1710に装換されていた.....という、ちょっと格好の悪い事をしてしまったので、それ以後ある程度由来などを調べる事にしています。(日本機は出所もはっきりしてますし、日本語のコンテンツもいっぱいあるので、調べるのが楽なのですが、その他の機体は、コンテンツが外国語なので、結構大変なのです^^;)
 今回サンプリングした「ダイムラーベンツ DB605」ですが動画サイトでもBf-109の動画がかなり多くアップされているいるので、DB605サウンドをお聞きになった事がある方も多いと思います。ドイツ機の中でも、フォッケウルフFw-190やユンカースJu-87と比べて、圧倒的にコンテンツが豊富なのは、飛行可能な機体が多いからです。これは、他機と違いBf-109が大戦中・大戦後もライセンス生産されていたり、運用されていたのが理由です。スペイン・ルーマニア・チェコスロバキア・ユーゴスラビア・ブルガリア・ハンガリー・フィンランドなどで、大戦後も運用されていました。現在まで飛行可能な、もしくは飛行可能だった有名なBf-109は、私が確認しただけで5機(G型4機・E型1機)、うち今現在も飛行可能な機体は3機のようです。
その5機にはそれぞれ愛称がついていて、「Black 6」「FM+BB」「Lote 7」「schwarze 2」「White 14」と呼ばれています。(愛称は機体に塗装されている番号ですな....)








 これらの飛行可能な(もしくは「飛行可能だった」・・・詳しくは後述)Bf-109は全て、オリジナル(もしくはライセンス生産)のDB601・DB605を搭載しています。が....このうち機体そのものがオリジナルなのは
"Black 6"と"White 14"のみです。

Bf-109 G-2 "Black 6"
 Black 6の本が出るくらい有名な機体。北アフリカで捕獲され、英空軍の基地でまさに朽ち果てようとしていた機体を、19年の歳月をかけて修復。飛行可能な状態まで復元した。アフリカ戦線で使用された砂漠用の塗装と、いわゆる「コブ」が無いスマートな機体から熱烈なファンも多い。残念ながら1997年10月、着陸時に事故を起こし、現在は飛べない状態。イギリスのRoyal Air Force Museum(王室空軍博物館)で、あの唯一現存している五式戦の隣に鎮座しております。飛行可能な時の勇士は動画サイトで見ることができます。

Bf-109 E-4 "White 14"
については、エンジンがDB601のなので、DB601のエンジン音が出来た暁に、ご紹介したいと思います。


 他の3機の元々の機体は何かというと.........コイツです..




 残りの3機は、スペインのヒスパノアビエーション社で生産されたHA1112 "Buchon(鳩)"いわゆる、「ヒスパノ・メッサー」を改造したものです。この"Buchon"、大戦前「スペイン動乱」時に運用されたBf-109を改修、または大戦後自社生産(もちろん設計はBf-109そのまま...)された機体に、当時から手に入らなかったDB605からヒスパノ・スイザ社製エンジン、もしくはロールスロイス・マーリンの民間用タイプ500/45に変更して完成したものなのです。上の画像を見るとわかるのですが、"倒立"V12気筒のDB605に対し、排気管の位置で、倒立していないエンジンを積んでいることがわかります。エンジンの装換の結果、どうしてもエンジンカバーの形状を変更しなければならず、その形が喉を膨らました鳩ににているので、"Buchon"と呼ばれたそうな。この写真の"Buchon"はすっかりドイツ機の塗装をされておりますが、見た目は.....微妙ですな〜。結果して、この機体を元に改造し、DB605のエンジンに装換したのが、残りの3機ということになります。最近では、「ヒスパノ改」ではなく、普通にBf-109と紹介されるほうが多いようですが、それもそのはず......改造には、「メッサーシュミット社」が直接からんでいるなど、本物と見まちがうような仕上がりになっています。

Bf-109 G6 "FM+BB"
 1970年代初めに、メッサーシュミット社がダイムラーべンツエンジンで復元を決めた機体。1959年製造のスペインのHA-1112M-1L(シリアル番号195)を1976年からレストアを始め、その胴体がオリジナルの胴体としてドイツで生産された事が発見された(大戦前にドイツで生産された機体を改修して使っていたということなのかな...?)。エンジンはスウェーデンでライセンス生産されたDB605をを1978年にもってきて、ドイツでチェックされ、搭載された。その後胴体が壊れ、再度フランスからHA-1112M-1Lを取り寄せ修復。2002年にエンジンブローし、2004年にエンジンを載せ変え再度飛行可能になりました。

Bf-109 G4 "Lote 7"
 この機体は1950年製造のヒスパノHa1112 M-1L(シルアル番号139)を元に7年をかけて改修した機体。当初G6として改修しようとしたが、パーツの関係でG4として完成しました。エンジンのDB605は、複数のエンジンからパーツを集組み上げたエンジンを使用。初飛行2004年。

Bf-109 G10 "schwarze 2"
 この機体は1968年の映画「空軍大戦略」の地上滑走シーンにも出演。1989年からダックスフォードのオールド・フライングマシン・カンパニーで飛行可能の状態に修復された機体。元々は上記2機と同様HA1112。エンジンは新品同様のDB605 D-1。なのだが......先日(2008年5月28日)....やっちゃいました^^;



 その後は...わかりません....^^;何にせよ、もったいないですな〜。FA公式掲示板にも書いている方がいらっしゃいましたが、現代のメッサー乗りの方は荒っぽい着陸をする方が多いようで、こちらがハラハラしてしまいます。あの「脚」ですから不安定なのはわかりますけどね....


液冷エンジン音DB605実機セットVer1.06について


 DB605を搭載したBf-109の紹介はこれくらいにして、肝心のFighterAce用のエンジン音作成についてですが、
"FM+BB""Lote 7""Black 6"のエンジン音を使用しています(どこに、どう使っているかはナイショ....)。一番メインの音源をどうするか迷いましたが、一番ワイルドな音を響かせていた"FM+BB"のエンジン音を使用しました.。しかし、ほんといい音しますね...DB605。特徴はなんと言ってもワイルドな音と同時に奏でるあの「ヒューン」というエンジンの回転音でしょう(そういえば昔フェザーなるバイクがありましたな....あれは「ヒューン」だけでワイルドではありませんでしたけどw)。DB605は、マリーンとはまた違う特徴的な音ですが、それを単純にサンプリングしてFighterAce用の音として使用しようとすると、なかなかそれらしい音にならないのです。音の断面をサンプリングしていますので、使用する際に長い連続したエンジン音としてすべての状況をカバーしようとすると、やっぱり無理があるわけですね。その中で実際使う際に一番バランスがとれたところを探すのに毎回苦労します。「自機のエンジン音」として、「他機のエンジン音」として、「自機に近づいてくる時の音」「自機から離れていくときの音」「離れていところで旋回している時の音」など、状況が変わる中でのその音をイメージできるよう妥協点を見つけなければなりません。結果的に音を混ぜる事によって、それらの状況に対応しています。ただ単純にサンプリングしただけでは何かが足らない....一番は、やはりプロペラの音を混ぜないと決定的に物足りない音になってしまいます。今現在FighterAceのエンジン音において、一番のネックがこのプロペラの音だと思います。飛行時の音源が1つの為、エンジン音とプロペラ音を同じファイルで表現するしかありません。そこがエンジン音作成を難しくしている原因だと思います。別に実際の飛行音と違った雰囲気の音でもいいのなら別ですけどね。実機の音をサンプリングしても、その雰囲気の音になってくれない....困ったもんですね。ちなみに他のフライトシムはエンジン音とプロペラの音は分けているようですね。

1000分の2秒

 ある音とある音を合成しようとしたとします。もちろん合成する音は同じなのですが、1000分の2秒ずれただけで、FighterAce内では全く違う音になってしまいます。以前、誉の現バージョンでもあったのですが、今回はたまたま偶然1000分の2秒、音がずれたおかげでこのエンジン音が完成しました(誉の時は、確かプロペラ音だったような....今、一から作って今と同じ音にする自信がありませんw)。DB605の豪快で、かつ特徴のある「ヒューン」という音が何とか再現できたのではないかと思っています。(1000分の2秒ずれたおかげで、あのヒューンが完成したんですよ...)自機の音としてはまだ改良の余地がありかもしれませんが、外から聞いた音はDBサウンドらしい音になっていると思います。この音でメッサー乗りが少しでも増えてくれるとうれしいな〜と思いつつ....今回のDB605編はこの辺で。

2008.05.17 KURE_GILERA_IOM



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HA1112 "Buchon"

Bf-109 G-6 "FM+BB"

Bf-109 G-2 "Black 6"

Bf-109 G-10 "schwarze 2"

Bf-109 E-4 "White 14"

Bf-109 G-4 "Lote 7"

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